英語を学ぶ意義とはいったいなんでしょう。国際化、情報化の時代において英語が世界の共通語となってるからだとよく言われます。では、入学試験のようなむずかしい問題が解けなくても、英語でコミュニケーションがとれればいいじゃないかという意見はどうでしょう。たしかに英語はコミュニケーションのためのひとつの手段です。けれど、コミュニケーションをとるとは、実際はとてもむずかしいことです。なぜなら、相手の意見を聞き、自分の意見を述べるだけでは本当のコミュニケーションとは言えないからです。
あいさつや買い物程度の日常会話だけでなく、会議や商談ともなれば、説明、交渉、説得も必要になりますし、想像力、判断力を駆使して決定もしなければなりません。そのためには交渉相手の国の文化・歴史・社会情勢なども知っておいたほうがいいでしょう。その国の本や新聞を読み、ニュースなどを聞き、早く的確に理解しなければなりません。そのための訓練が今、皆さんに課せられているのです。もちろん、相手国を理解する以前に、自国の文化・教養を深めることを忘れてはなりません。自分自身への蓄積が発信を可能にするからです。受信と発信のバランスがとれてコミュニケーションは成立するのです。
入学試験の英語長文――とくにトップ校の場合は年々分量も多くなり、集中力を保つのに苦労することでしょう。しかし、集中して相手を理解するための努力をしてこそ培えるのが本当のコミュニケーションなのです。そして、相手を理解することはとても楽しいことです。それは知識がふえることでもあるからです。
本書で扱った長文はむずかしいだけでなく、実は読んでみるととてもおもしろいものをを集めました。きっと知識を得ることの喜びも一緒に味わえることでしょう。その喜びがこれからのみなさんの学習意欲につながることを信じています。本書を活用して入試を突破し、学習することの本当の喜びを見出してください。健闘を祈ります。
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